消費者裁判手続特例法改正について

弁護士(大分) 井田雅貴

1 第208回国会で、消費者裁判手続特例法(以下「特例法」という)の特例法改正法案が提出された。

 特例法改正法案は、令和4年4月21日に衆議院で可決され、本稿執筆時には参議院に回付されている。よほどのことがない限り、同国会で法改正が成立する予定である。

2 特例法改正法案の概要

(1)共通義務確認訴訟の対象を拡大し

①対象となる損害につき、算定の基礎となる主要な事実関係が相当多数の消費者について共通すること等の要件を満たす慰謝料も請求することができる

②被告とすることができる者に、被用者の選任等について故意または重大な過失により相当の注意を怠った事業監督者等の個人を加える

こととした。

(2)共通義務確認訴訟における和解について、共通義務の存否にかかわらず和解をすることができることとした。

(3)対象消費者に対する情報提供の充実を図るため、簡易確定手続において、事業者等は知れている対象消費者等に対し、一定の事項を通知すべき義務があることとした。また、特定適格消費者団体の申立てにより、共通義務確認訴訟の時点で、裁判所が、事業者等が保有する対象消費者等の氏名等が記載された文書を開示す・・・

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