書面交付義務の電子化に関する政省令の論点

弁護士(埼玉) 池本誠司

1 政省令の検討状況

 特定商取引法が定める訪問販売、連鎖販売取引等の契約書面等交付義務を、政令で定めるところにより消費者の承諾を得て電子データの提供を認める特定商取引法・預託法改正法が、多数の反対意見を押し切って成立した1

 ただし、附則1条の修正により、書面の電子化に関する規定は公布後2年以内施行と1年間先延ばしされ、「悪質業者の手口や消費者被害の実態を十分に踏まえたうえで、学識経験者、消費者団体、消費生活相談員等の関係者による十分な意見交換を尽くすこと。」という参議院特別委員会の附帯決議第2項が採択された2

 これを受けて、消費者庁の「特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会」が設置され、2021年7月30日の第1回検討会開催以降、ワーキングチームを設けて同年8月から2022年3月まで19に上る関係団体のヒアリングを行ったうえで3、同年4月21日に第2回検討会を開催し、ヒアリングにおいて示された多様な意見に関する論点整理を紹介した。5月から政省令のあり方に関する本格的な審議を進めるところであり、本年夏頃を目途に検討会取りまとめを行う見込みである。

 本稿は、ヒ・・・

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