福島県中通り訴訟確定(最高裁第三小法廷令和4年3月7日決定)報告

弁護士(東京) 野村吉太郎

1 中通り訴訟原告の特徴

 いわゆる自主的避難等対象区域の住民で、かつ提訴時には避難生活を送っていない大人(福島県中通り地方に居住している人)が原告となった集団訴訟

2 中通り訴訟の着目点は損害認定額

基本額30万円マイナス既払金8万円=22万円及び弁護士費用2万2000円

合計24万2000円が大部分の原告の認容額(これより少ない認容額の原告は、当該原告のADRの和解内容に応じたもの)

「福島県中通りの原告らの居住地は、屋内退避指示区域や避難区域に含まれることはなかった。低線量被曝の健康への影響について、政府に置かれた専門家による『低線量被曝のリスク管理におけるワーキンググループ』が平成23年12月22日に公表した報告書において、年間20mSvの基準を用いることが適当であるとの結論が示され、この検討結果を踏まえて、同月26日の原子力災害対策本部において、政府が、年間積算線量20mSv以下となることが確実であることが確認された地域を『避難指示解除準備区域』に設定することなどを内容とする新たな避難指示区域に関する基本的考え方を示したことも考慮すれば、少なくとも、『放射性物質・・・

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