インタビュー「障がい者の消費者被害と合理的配慮について」

弁護士(大阪) 川本真聖

1 はじめに

 大阪弁護士会では、2021年4月シンポジウム「障がい者の消費者トラブルを考える~誰もが安心できる消費生活のために~」を開催の上、2022年3月4日に「障害者差別解消法の改正を契機として消費者法制の見直しを求める意見書」を発出した。これらは、2021年5月成立の障害者差別解消法の改正により、事業者の「合理的配慮提供義務」が、努力義務から法的義務に変更されることになったことを契機とするものである1。これら活動や障がい(主に知的障がい)のある方々の消費者被害に関して、シンポジウム登壇者でもある社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会2の谷川耕一理事からお話を聞いた。

2 谷川耕一理事インタビュー

(1)障がい者の消費者被害の状況

川本:知的障がいのある方々の消費者被害について、どう把握されていますか。

谷川:日常的に消費者被害はあり、三つの類型に分類できるのでないかと思います。

 まず「悪意のある事業者による被害」として、有料動画サイトの未払料金があると請求され150万円近くをだまし取られた事案、マッチングアプリで会った異性からマルチ商法に引き込まれ多額の化粧品を購入させられ・・・

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