大阪弁護士会「障害者差別解消法の改正を契機として消費者法制の見直しを求める意見書」について

弁護士(大阪) 大上修一郎

1 はじめに

 大阪弁護士会は、2021(令和3)年4月21日にシンポジウム「障がい者の消費者トラブルを考える~誰もが安心できる消費生活のために~」を開催した1

 これまで当会では高齢者の消費者被害防止のための調査・研究を行ってきたが、これにとどまらず障害者の消費者被害防止のための調査・研究をも進めていく必要があると考えたこと、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(以下、「障害者差別解消法」という)に定められた合理的配慮提供義務が法改正によりこれまでの努力義務から法的義務化されることなどを踏まえて本シンポジウムを開催したものである(なお、合理的配慮義務の法的義務化を定めた改正障害者差別解消法は、2021年5月28日に成立、6月4日に公布され、同日から3年を超えない範囲内において政令で定める日に施行される)。

 本意見書2は、本シンポジウムで行われた基調報告及びパネルディスカッションでの成果を踏まえた上で、消費者法制の見直しを求めるべく、2022(令和4)年3月4日、発出されたものである。

2 本意見書の概要

(1)本意見書は、事業者と消費者との間には情報の質・量及び・・・

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