改正預託法附帯決議と消費者委員会の動き─消費者庁の解散命令に関連して─

弁護士(神奈川) 石戸谷 豊

 ジャパンライフの事件を担当して、業務停止処分に従わず営業を続けて被害を拡大させるような極悪業者に対しては、被害防止のため消費者庁が解散命令の権限をもつべきだと痛感した。業務停止期間中に、被害は拡大し続けたのだから。

 この問題について、消費者庁が行政処分権限として解散命令を発する制度1、消費者庁が裁判所に解散命令の申立権をもつ制度2の両面から検討してきた。なお、会社法の解散命令もあるが、この制度は、消費者庁から法務省にバトンタッチされ、法務大臣が裁判所に解散命令の申立てをして、裁判所が解散事由の有無を審査して決定となるので、時間がかかり過ぎる。ジャパンライフの事案を念頭に検討すると、消費者庁が解散命令を発する制度が迅速で優れているというのが結論だ。

 特商法・預託法改正の際に採択された附帯決議311項では、ジャパンライフの事案の審議を踏まえ、行政庁による解散命令制度の創設も検討することとされた4

 そして、内閣府消費者委員会の「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ」(第3弾)は、悪質商法における被害回復の実効性確保がテーマとなった。2022・・・

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