成年年齢引下げに関する行政による周知・広報・相談体制整備について

弁護士(京都) 加藤進一郎

1 若年者の消費者被害相談状況

 令和3年版消費者白書によると、消費者被害やトラブルに遭った方が相談、あるいは申入れをした割合は、全相談者のうち38.4%である。

 そして、その相談をした消費者の相談先のほとんどは、家族、知人、商品・サービスの販売店やメーカー等の事業者であり、他方で、市区町村の消費生活センター等の行政機関と答えた人はわずか8.4%、消費者ホットライン「188」にいたっては1.7%という状況である。

 相談者の属性、年齢に絞ってみてみると、20歳代は他の年代と比較して少し低いと評価できる。20歳未満は取消権があるので、そもそも被害が少ないというところがあるかもしれないが、より少ない数字となっている。

 このように、若年層も含めそもそも相談すること自体にハードルがあるのか、相談ができていないという現状がある。

2 内閣府消費者委員会の指摘

 内閣府消費者委員会が令和3年12月17日に「成年年齢引下に伴う若年者の消費者被害の防止に向けた対応策に関する意見」を出している。

 同意見では、成年年齢引下げについての社会での認知度について「関係省庁において精力的な周知・広報活動、教・・・

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