成年年齢の引下げを受けて─学校現場から─

東京都立文京高等学校 石川周子

成年年齢の引下げによる生徒を取り巻く状況

 民法の改正により、2022年4月から成年年齢が18歳に引き下げられ、保護者の同意がなくても一人で契約できる範囲が広がるなど、若者の社会参加の増加が期待されています。その一方、消費者問題において、成年年齢の引下げは「未成年取消権行使年齢の引下げ」を意味し、これまで20歳以上で急増していた消費者トラブルが、18歳以上に移ってくることが予想されます。

 一般的にいうと、2022年の4月から高等学校では3年生のクラスに成年と未成年が混在するという状況が発生しています。これは未成年者取消権が使える生徒と使えない生徒の混在を意味し、もしクラスの中で消費者トラブルが広がると、未成年取消権によって救われる生徒と救われない生徒がいるという状況です。特に高校3年生という年代は、進路選択という人生の大きな岐路に立つ時期でもあり、生徒によっては「進学したいけれども、家庭の経済状況を考えて就職をする」「予備校に通いたいけれども、保護者に金銭的負担をかけられないため、自分で勉強するしかない」など、大きな額のお金の存在を意識せざるを得ない時期と重なっ・・・

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