消費者契約法とつけ込み型勧誘規制

弁護士(兵庫) 上田孝治

1 成年年齢引下げと未成年者取消権の喪失

 2022年4月から成年年齢が引き下げられ、18・19歳の消費者が契約をした場合に、民法の未成年者取消権による保護はなくなりました。  成年年齢引下げによって、従来と比べて、より知識や経験が乏しい状態で、しかも、18歳という生活環境が大きく変わるのと同じ時期にいきなり未成年者取消権という保護の対象から外れることになり、若年消費者の契約トラブルが懸念されています。

2 若年の消費者被害と消費者契約法

 18・19歳が未成年者取消権を失うことになったため、消費者契約全般に適用される民事ルールである消費者契約法が、若年の消費者被害救済に非常に重要な役割を果たすことになります。  消費者契約法のうち、若年の消費者被害に関連するものとしては、平成30年改正において、いわゆる「つけ込み型勧誘」(消費者が合理的な判断をすることができない事情があり、その事情を事業者が不当に利用して消費者を勧誘すること)を理由とする取消権が創設されています。具体的には、いわゆる就活商法のような場合を想定し、消費者の経験不足による不安をあおる告知をして困惑させた場合・・・

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