弁護士(大阪) 菅 聡一郎
本年度は、平成16年3月から平成22年9月にかけて出荷販売された「茶のしずく石鹸」と称する薬用洗顔石けん(医薬部外品)を使用したことによる重篤な小麦アレルギー被害事件について全国各地で提起された被害者集団訴訟のうち、唯一の高裁判決となった福岡高判令和2年6月25日〔2〕を紹介する。
同判決は、上記石けんの使用による小麦アレルギー被害について、同石けんとアレルゲンとなった同石けんの原材料(小麦グルテン加水分解物)の欠陥をそれぞれ認定し、同石けんの製造販売業者2社と、原材料製造業者の計3社に対し、製造物責任法3条の損害賠償責任を認めた福岡地判平成30年7月18日の控訴審判決であるが、原判決における一審原告らのうち、原審段階で製造販売業者2社との和解成立を選択し、原材料製造業者との間の訴訟のみが控訴審に係属した一審原告ら6名のみが、同判決を受けたものである。
1 事案の概要
一審原告Xらは、一審共同被告A及び同Bの製造に係る石けんである上記石けん(本件石けん)を使用したところ、同石けんに配合されていた一審被告Y製造に係る小麦グルテン加水分解物(グルパール19S)によって感・・・
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