第7章 先物取引・詐欺的利殖商法

弁護士(東京) 荒井哲朗

第1 はじめに

 今回は、本誌128号掲載の消費者法白書で紹介された以降の裁判例(主に先物取引裁判例集83巻及び84巻に掲載されている裁判例)の中から、先物取引・詐欺的金融商品取引被害について被害救済手続実務上興味深いと思われるものについて紹介することとする(なお、裁判例の引用に当たっては、略記の説明部分、証拠や認定事実を引用する部分の記載を略しているほか文脈を損なわない程度に簡略化している部分があり、逐語引用ではない)。

第2 商品先物取引・株価指数証拠金取引等取引所証拠金取引について一体的不法行為を構成させる各違法要素等

 先物取引商法自体の衰退によって裁判例の数は減少しているが、裁判例の大勢は従前と特に異なるところはない。株価指数証拠金取引等については引き続き少なくない被害が生じている。

1 適合性原則違反

 岡山地判令和3年6月4日は、「本件株価指数証拠金取引は、取引単位を株価指数の100倍とする証拠金取引(レバレッジ取引)であるから、現物売買と異なり、知識経験のない者にとっては理解が容易ではない取引であって、投資金以上の損失が発生する危険性を有するリスクの高い取引であ・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。