第5章 証券・金融商品

弁護士(大阪) 中嶋 弘

1 株式等現物取引

名古屋高裁令和4年2月24日判決〔5〕

(事案の概要)

ア 本稿では控訴審判決ではあるが、投資家を「原告」、証券会社を「被告会社」とする。被告会社において証券取引を行った亡A及び原告Bが、被告会社及び担当者による勧誘及び業務遂行が違法であるとして損害賠償請求を行った事案である。亡Aは当初原告であったが1審段階で死亡し、亡Aの損害賠償請求権はその一人息子である原告Bに相続により承継された。以下では、亡Aと原告Bをあわせて「原告ら」という。

イ 亡Aは平成20年9月から被告会社で取引を開始し、平成25年4月から平成26年9月までの取引が問題とされた(以下「本件取引1」という)。本件取引1は、国内株式、外国株式、外国債券、投資信託、社債等の現物取引であり、信用取引はなかった。

ウ 原告Bは平成24年7月から被告会社で取引を開始したが、亡Aを取引代理人として指定して取引が行われ、平成25年8月から平成26年9月までの取引が問題とされた(以下「本件取引2」という)。本件取引2は、国内株式、外国株式、外国債券、投資信託、外国投資信託等の現物取引であり、信用取引はな・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。