弁護士(大阪) 西村陽子
前回白書以降(128号から131号)まででの特定商取引法関係の判決には、以下のとおり、2件の判決がある。
〔1〕は、一人暮らしの高齢者(契約当時88歳)に対する布団の湿気取り製品の次々販売の事案である。原告は、訪問販売により、湿気取りパット等を37万8000円で購入させ(第1契約)、その約3か月後、さらに湿気取りケット等を86万4000円で購入させ(第2契約)、被告は、各契約につき、頭金として1000円ずつ支払った。第2契約から約3か月後に消費者センターに相談をし、両契約につき、消費者契約法4条3項1号(不退去)による取消し、特定商取引法9条1項本文による解除(クーリング・オフ)、同法9条の2第1項2号による解除(過量販売)をしたところ、原告より、残代金の支払いを求めて訴訟が提起された。本判決は、消費者契約法や特定商取引法による取消し、解除は認めなかったものの、原告は、販売価格の下限を卸売価格の10倍ないし20倍に設定していて、その倍額以上で販売するよう指導しており、その販売価格が不当に高額であったこと、原告従業員らは、夕方の時間帯に日程調整を経ずに被告方を突然訪・・・
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