決済端末機を預託商品としたマルチ商法被害 サンク事件の顛末について

弁護士(島根) 田上尚志

 令和4年2月1日、サンク破産管財人室のHP(http://www.e-cinq.co.jp/index.html)に、株式会社サンク(以下、「サンク」という)の破産事件(大阪地方裁判所平成28年(フ)第48号事件)において配当を行う旨の文書が掲載された。それによると、配当の実施に当たって破産管財人が確保したサンクの資産は13億5593万円であり、優先的破産債権(労働債権)が646万円、一般破産債権が158億1179万円とのことである。

 破産開始決定から6年強の年月を経て、ようやくサンクの破産手続が終了することになる。サンク事件は決済端末機を預託商品としたマルチ商法被害であるが、破産手続は被害者側による債権者破産申立てではなく、サンクの自己破産申立てによって開始している。当職は島根県西部で活動しているので、単に耳にしなかっただけかもしれないが、被害者側弁護団が結成され、記者会見がなされたりした経緯もないようであり、マスコミの報道も限定的だったようである。このため、消費者法ニュースの読者の皆様も、サンク事件の記憶が薄れていたり、あるいはサンク事件を知らない方もあろうか・・・

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