違法収益吐出し法制に関する近時の動き

弁護士(大阪) 大森景一

1 はじめに

 日本における違法収益吐出し法制が不十分であることについては、拙稿「違法収益剥奪法制の現状とこれからの課題」(消費者法ニュース123号135頁)において論じた。本稿ではその後の動きについて触れることとしたい。

2 預託法改正

 その後、2021年6月9日に成立した「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律」(令和3年法律等72号)による預託法改正によって、販売預託商法は原則として禁止され、大規模被害を生じさせるような詐欺的商法に対する規制が強化された。しかし、今回の預託法改正によって違法行為が一定程度抑止されるとしても、現実に被害を被った被害者が救済されるようになるわけではない。

 もっとも、預託法改正に際しては、参議院地方創生及び消費者問題に関する特別委員会において附帯決議がなされ、「これまで販売預託商法等によって多数の消費者被害が生じていることに鑑み、加害者の不当な収益をはく奪し被害者を救済する制度、行政庁及び特定適格消費者団体による破産申立制度並びに行政庁による解散命令制度の創設や、過去の被害事案の救済のた・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。