実効性のある消費者被害回復制度の実現を目指すシンポジウムの報告

弁護士(東京) 鈴木敦士

1 シンポジウム後半では、パネルディスカッションが行われた。パネリストは、三木浩一慶應義塾大学大学院法務研究科教授、五條操弁護士、中野和子弁護士、五十嵐潤弁護士であった。コーディネーターは当職が務めた。なお、パネリストの発言は当職の責任で要約したものである。

2 パネルディスカッションでは、オプトアウト制度及び行政による違法収益吐出しについて議論したが、この二つについて検討する理由が冒頭コーディネーターから説明された。すなわち、現行の集合訴訟制度の課題については、「消費者裁判手続特例法等に関する検討会」で議論されなかった問題として、手続主体の拡大(特定適格消費者団体に限定すべきか)、対象事案の拡大(人身損害等への拡大、PL法や金商法上の請求への拡大)、手続構造(オプトアウト型の導入)など様々な論点がある。また、被害救済を考える上では、父権訴訟(行政が集合訴訟の手続主体となる方法)も考えられる。さらに、集合訴訟に限らず、行政への破産申立権付与、解散命令制度の活用、課徴金を徴収して被害者に配分する、米国のディスゴージメントなど様々なものが考えられる。

 ところで、前半の報告で・・・

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