コロナ・パンデミックとジェネレーション・レフトの可能性─資本主義の限界─

NPO法人POSSE事務局長 渡辺寛人

1 はじめに

 2020年にはじまったコロナ・パンデミックは未だ収束が見通せず、貧困を加速させている。労働市場においては、休業補償の未払いや雇止め、解雇が広がった。とくに影響を受けたのは、非正規労働者や、感染拡大下でも社会を回すために働き続けなければならないエッセンシャルワーカーたちだった。さらに、日本の労働市場の下層に組み込まれていた技能実習生をはじめとする「外国人」労働者も、生存を脅かされている。コロナ・パンデミックは、日本社会に堆積され続けてきた矛盾を加速させたのである。

 他方、多くの人々が貧困に苦しみ、生存が脅かされているなかで、富裕層はよりいっそう豊かになった。国際NGO「オックスファム」の発表によれば、コロナ・パンデミックを通じて、世界の富豪10人の資産が約80兆円から170兆円へと2倍以上に増加した。さらにNGOは「もし10人の富豪があす99.999%の資産を失っても、地球上の99%の人よりなお裕福だ」と指摘する。コロナ・パンデミックを通じて資本主義の矛盾は極致に達しているように思える。

 こうした状況のなかで、世界的には「ジェネレーション・レ・・・

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