平成14年改正区分所有法26条2項についての立法事実について

弁護士(京都) 折田泰宏

第1 はじめに

1 事の発端

 現在、日本弁護士連合会では、マンションの分譲業者に対して共用部分の瑕疵担保責任(改正民法では契約不適合責任)に基づき損害賠償請求をする場合について、区分所有権が譲渡された場合には、その請求権は当然に転得者に承継されることを明確にする立法的措置を求める意見書を準備中である。

 この問題は、平成14年区分所有法改正時の状況に遡る。当時は、マンションの共用部分の瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求の原告について裁判所の対応は曖昧で、管理の主体であり、また補修工事請負契約の当事者となっている管理組合に原告適格が認められている裁判例も多くあった。しかしながら、平成8年に、管理組合がマンションの建物の共用部分にひび割れ等の疵が生じたことによる損害の賠償を建設会社、分譲会社に対して求めた百合ヶ丘ガーデンハイツ事件では、東京地裁平成8年7月15日判決では、損害賠償請求権は組合員である区分所有者全員に帰属するものであり、かつ右損害賠償請求権は可分債権であるから各区分所有者にその共有持分割合に従って分割して帰属するものと解するのが相当であり、管理組合には当事者適格・・・

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