「最悪の統計不正」と見解を表明する戦略─物価偽装をただす─(第11回)

フリーライター 白井康彦

 筆者は、物価偽装問題に9年間集中してきました。生活保護や統計の分野では、極めて重大な問題だと思うからです。「異常」と評されることもある粘り強さが実を結ぶかどうか、いまだに確信が持てません。そこで、新しい戦略を思いついたので報告します。

 厚生労働省が2013年1月下旬に公表した生活扶助基準改定案の主要理由は、物価スライドでした。厚労省が根拠にした物価指数は、厚労省が独自に開発した「生活扶助相当CPI」。厚労省は「生活扶助相当CPIが2008年~2011年の3年間で4.78%下落した」として、この下落率をそのまま適用して生活扶助基準を大幅に切り下げてしまったのです。このCPI下落率はかなり異常な大きさ。「本格的なデフレのでっち上げ」と評価して間違いないです。

 この行政処分の取消しを求めたのが「いのちのとりで裁判」。全国29地裁で提起され、2022年3月中旬現在、地裁判決は原告側から見て1勝7敗です。負けが込んでいる印象ですが、悲観に打ちひしがれる必要はないと思います。いのちのとりで裁判の最前線の攻防戦では、物価の論点では圧倒的優勢になっています。原告側が勝つべき状況にな・・・

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