生活保護変更決定取消請求事件

弁護士(千葉) 及川智志

第1 事案の概要

1 更生緊急保護等

 原告は、刑事事件において、平成28年1月25日、懲役2年6か月執行猶予5年の判決を受け、身体の拘束を解かれた。

 特定非営利活動法人生活困窮・ホームレス自立支援ガンバの会(以下、「ガンバの会」という)は、ホームレス、生活困窮者等に関して自立支援の事業を行い社会福祉に貢献することを目的とするNPO法人であり、千葉県市川市内の緊急一時宿泊施設(以下、「シェルター」という)を運営している。

 千葉保護観察所長は、上記同日、更生保護法85条1項3号及び3項の規定により、ガンバの会に対し、原告についての更生緊急保護(執行猶予確定前)を委託した。この委託の内容は、宿泊場所の供与(費用として日額1500円)、食事の給与(同1213円、ただし後記の生活保護法に基づく生活扶助費が支払われている間は不支弁)、自立準備支援(同2000円、ただしガンバの会に支払われる費用)であった。同年2月9日、上記判決が確定したため、更生緊急保護は終了し、同法62条3項により応急の救護の措置に移行した(判決確定に伴い保護措置が変わったが、保護の内容は同じである。そこで、以下・・・

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