弁護士(神奈川) 茆原正道
1 43条に存在した奇妙な話
かつての貸金業規制法43条とは、簡単に言えば、次のようなものである。
① まず、利息制限法の制限利率を超えて利息を徴収することは、違法で認められない。制限利率を超えた(違法)利息分を指定して、その部分に充当すると言っても無効である。
② しかし、違法なものであっても契約書を揃えて、且つ、領収証をきちんと出していさえすれば、その行儀の良さに鑑みて、(弁済が任意のものであったことを前提として)利息制限法超過部分の弁済も有効な弁済とみなす。
③ そうは言っても、最初から、違法な契約書を振りかざして、利息制限法超過利息の支払いを要求することは違法であり、許されない。また、領収証を出したからと言って、違法な利息を徴収したことが正当化されるわけではない。
2 奇妙さを暴露した最判
この43条の奇妙さを暴露したのが、最二判平成18年1月13日・最一判平成18年1月19日(民集60巻1号1頁)である。
「期限の利益喪失特約のうち、上告人が支払期日に制限超過部分の支払を怠った場合に期限の利益を喪失するとする部分は、同項の趣旨に反して無効である」として、その特約に・・・
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