長崎県におけるカジノ問題の現状と課題 その2

弁護士(長崎) 今井一成

1 現状の整理(2022年2月15日現在)

 九州・長崎IR(以下、「長崎IR」といいます)の設置運営事業者公募には5社が応募し、2021年3月の第一次審査で3社に絞られ、さらに同年8月の第二次審査でカジノ・オーストリア・ジャパン・インターナショナル(以下、「CAJI」といいます)が選ばれました。長崎県は、同年8月30日、CAJIと基本協定を締結し、2022年4月28日を期限とする国に対するIR区域認定申請に向けて、同社とともに区画整備計画の策定等の準備を行っています。

2 設置運営事業者選定手続の問題

 長崎IRの事業者選定手続については、第二次審査で落選した2社より手続が公正ではなかったとして審査のやり直しを求める事態が発生しています。具体的には、長崎県担当者より廉潔性調査結果を公表されたくなければ選考手続から辞退するよう迫られたとの落選2社の声が報道されています。この点については長崎県議会でも質疑がなされているところ、長崎県は、募集要項、審査基準に則り公平・公正に審査した結果であり、審査結果に廉潔性調査結果は影響しないと答弁しました。

 もっとも、CAJIは、第一次審査・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。