大阪IR(統合型リゾート)の経済効果と違法性の阻却

大阪カジノに反対する市民の会・代表 西澤信善

問題

 賭博は刑法で禁止されている。禁止されている賭博が解禁されるためには特別法で違法性が阻却されねばならない。特別法としては、2016年にIR推進法(特定複合観光施設の整備の推進に関する法律)、2018年にIR実施法(特定複合観光施設整備法)およびギャンブル依存症等基本法の三本が制定された。他方、刑法第35条は、「法令又は正当な業務による行為は、罰しない」と規定している。同条文のいう「法令」とは、三本の特別法を指しているといえよう。したがって、その特別法に従ってIRが開設される限り、法令の規定するところの行為とされ、違法性が阻却されるということになる。三本の特別法のうち賭博の解禁すなわちIR開業にもっとも重要な意味を持つのは、IR推進法である。同法はIRの目的として、観光の振興、地域経済への振興および財政の改善などを挙げている。また、実施については「民間事業が設置・運営する」と定め、賭博の民間事業者への解禁を認めている。しかし、賭博は弊害も多く、また反社会的勢力が入り込む可能性やマネーロンダリングなどの悪用も否定できず、同法は、カジノ管理委員会・・・

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