消費者法としての動物法を考える

日本女子大学教授 細川幸一

1 問題意識

 消費者の権利に加え、消費者の責任が議論されている。消費者法とは消費者の権利を守り、その救済を図る民事法規、行政法規等の法領域をいうが、近年、消費者の責任が重要視されるなかで、そのための消費者教育法制やその責任を果たすための選択表示の問題などもその概念に含まれるようになってきている。

 そうした中で、谷本=坂東=カライスコス『これからの消費者法』1は「消費者市民社会」という概念が消費者教育推進法より明示されたことを受けて、消費者の行為が社会に与える影響について紙幅を割いており、注目される。特に、人間と動物の関係を取り上げ、動物愛護管理法の内容のほか、アニマル・ウェルフェアについて扱っている点において消費者法としての動物法という、今までにない視点を示していることは重要である。

 消費者が自らの行動に責任持ち、環境や人権、動物への配慮が強く求められ、SDGs、持続可能な消費、エシカル消費といった概念への理解も浸透し始めている。SDGsの17のゴールのうち、特にゴール12「つくる責任つかう責任」に関連する課題である。

 豊かで便利な社会の裏側で犠牲になっているものに我・・・

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