食品表示─なぜこう書くのか?─(6)
ある洋菓子のわかりづらい原産国

上級食品表示診断士・行政書士 大矢安昌

 「どのお菓子が一番好きですか」とよく尋ねられる。迷いながらもその一つに洋菓子の「○○○……」を挙げる。理由は、自分では作れないから。通常のケーキ類やパイ生地、シュー生地、型のあるフィナンシェなどは自分でも何度も試作した。が、「◯◯◯……」だけは、特殊な製造機械がないと作れない。そこで、いつもデパートに買いに行く。いくつかの銘柄の中から、まんべんなく食べてその違いを楽しむ。その“とある”銘柄の「◯◯◯……」だが、乾燥を防ぐ内袋に加え蓋箱と下箱(簡単に言えばケーキ箱)に丁重に納められていて、なんとも外国の風情を感じる。

 さて、その洋菓子の“いちファン”からふと食品表示診断士に立ち返り、よく見ると、食品表示は下箱の裏側に、問題なく表示されているが、気になったのは、蓋箱のドイツ語とメーカーショップのロゴ的な絵である(内袋も同様)。つまり、買い手が手に取ってすぐに見える上部と横の部分にはその商品を特定するブランド的な名称が最大28ポイント程度の大きさのドイツ語で書かれていて横にはそれを取り扱っている外国の本店らしき名称と地番と電話番号がドイツ語で書かれているの・・・

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