日本の貧しいアニマルウェルフェア

市民バイオテクノロジー情報室代表 天笠啓祐

国際基準への介入

 2019年5月に韓国を訪問した際、生協の店舗で、アニマルウェルフェアへの取組みが進んでいることを実感しました。それに比べて日本では、取組みがとても弱いといえます。そして日本では、このアニマルウェルフェアが、思いがけない形で注目を集めました。きっかけは、吉川貴盛農水大臣(当時)が、アキタフーズ(広島県福山市)の前代表から、大臣室で現金を受け取り、OIE(国際獣疫事務局)が進めるアニマルウェルフェアの国際基準作りを緩和させようとしたことにあります。OIEは動物の疫病に関する国際機関で、BSE(狂牛病)が発生した際に注目されたことは記憶に新しいところです。アニマルウェルフェアの国際基準作りも同事務局の課題に設定されました。

 OIEが強い権威をもつようになったのは、同事務局が設定する国際基準が、WTO(世界貿易機関)協定によって、「貿易の国際基準」となったことによります。そのような国際組織は三つあり、OIEの他にコーデックス委員会とIPPC(国際植物防疫条約)です。国際基準ですから、この基準を守らないと輸出入ができなくなります。アニマルウ・・・

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