令和3年7月熱海市伊豆山での土石流災害への対応
士業連絡会による生活再建相談会で─建築士が見たもの─

(公社)静岡県建築士会常務理事(東部ブロック長) 若林 直

1 はじめに

 世界中が新型コロナウィルスの蔓延により心も体も蝕まれ、1年延期となった東京五輪を目前に控えた7月3日の朝、テレビやSNSで流れてきた映像は皆さんも記憶に新しいと思います。

 この土石流により令和3年9月末時点で128棟(135世帯)が被害を受け、26人が死亡、1人が行方不明、土砂搬出作業中の作業員1名が亡くなっています。突然命を絶たれた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々には心よりお見舞いを申し上げます。

2 発災~静岡県災害対策士業連絡会(相談会)

 熱海市伊豆山地区において発生した土石流は、逢初川の源頭部で標高約390m地点(海岸から約2㎞上流)から流下し、被災した範囲は、延長約1㎞、最大幅約120mに及びました。土砂が流れ込んだ地域は、源頼朝と北条政子の逢瀬の舞台として知られる伊豆山神社の近くで、源頭部のすぐ横にはこの神社の本宮社があります。このエリアは保養所や旅館の寮などが点在するほか基本的には住宅地で、戸建て住宅やアパートが狭い道を挟んで建ち並んでいます。

 被災から約3週間後、県弁護士会が窓口を担っている「・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。