マンション共用部分の一元的管理の必要性と訴訟担当制度について

創価大学法科大学院教授 弁護士(東京) 花房博文

Ⅰ はじめに

 一棟の区分所有建物は、各区分所有者が単独所有権を有する専有部分と、その部分を構造上形成している区分所有者全員で共有する共用部分から成り立っている。そこで、このような区分所有建物を維持管理するために、「建物の区分所有法等に関する法律(以下、「法」という)」は、1.①区分所有者等の設定行為なしに管理のための団体を組織させ(法3条)、1.②集会を開き、規約を定めて団体自治が円滑にできるようにし(法3条)、1.③管理者や管理組合法人を各区分所有者全員の代理人とした一元的管理ができるように規定し(法26条2項、47条6項)、さらに、1.④単に実体法的規律に留まらず、紛争当事者としても管理者や管理組合法人を原告として一元的行使ができるよう任意的訴訟担当規定を置く(法26条4項、47条8項)。

 また、1.⑤共用部分等の管理については、民法の共有物管理における合意要件を緩和し(民法252条、法17条、61条、62条)、さらに、1.⑥専有部分と、共用部分や敷地利用権の持分との分離処分を原則的に禁止し(法15条2項、22条1項)、1.⑦共用部分等に・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。