マンション管理者が単独で訴訟追行権を有するために

日弁連消費者問題対策委員会・土地住宅部会委員 弁護士(広島) 森友隆成

第1 シンポジウム全体の概要

 令和3年12月9日、日弁連消費者問題対策委員会の主催で『欠陥マンション訴訟の原告は誰?~東京地裁平成28年7月29日判決の批判的検討』と題するシンポジウムが開催された。マンション管理実務上非常に関心の高いテーマということもあり、法曹関係者のほか、マンション管理組合関係者など実際にマンション管理に携わられている多くの方にご参加いただき、好評をいただいた。当日は、筆者から基調報告を行い、その後、「マンション建物の集団的管理のあり方と訴訟追行権」をテーマにパネルディスカッションが行われた。パネリストとして登壇したのは、鎌野邦樹氏(早稲田大学法科大学院教授)、花房博文氏(創価大学法科大学院教授)、折田泰宏氏(京都弁護士会)、コーディネーターを水谷大太郎氏(日弁連消費者問題対策委員会副委員長)が務めた。

第2 共用部分の欠陥による損害賠償請求権と区分所有法平成14年改正

(1)マンション共用部分の契約不適合(いわゆる欠陥)責任に基づく損害賠償請求権は、可分債権であり、区分所有者にその共用部分の持分に応・・・

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