欠陥住宅紛争の基礎知識(57)
─欠陥住宅の調査(2)─

弁護士(東京) 河合敏男

 前回に引き続き、建築士の調査についての留意点を解説する。

(4)調査費用を明確にする

 調査費用について、予め明確に合意しておく。建築士と依頼者間の金銭トラブルはしばしば起こる。弁護士が建築士と依頼者の間に挟まれて困惑する話もよく耳にする。その多くは費用について曖昧にしたまま調査に入るためである。また、裁判になった後も建築士の協力が必要となる場面は多いので、その費用も見込んでおく必要がある。建築士の調査費用については、弁護士からも依頼者に対してよく説明しておくべきである。

 調査や資料作成に要する拘束時間によって費用を決めた場合は、現地調査などで無駄な時間を作らないような配慮が必要である。なお、時間制は青天井になることがあるので、上限を決めておき、これを超える場合は依頼者と協議して進めるべきだろう。依頼者は、先が見えないまま調査費用が膨らんでいくことに大きな不安を抱くのである。

 非破壊検査など別途費用の発生する調査が必要な場合は、証拠としての必要性なども考慮して、依頼者及び担当弁護士とよく協議した上実施すべきである。

(5)客観的な判断を行う

 瑕疵判断は客観性がなければならない・・・

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