カネミ油症次世代調査が進展するなかで
—新しい公的救済が急務—

消費者安全問題研究会 土庫澄子

1 次世代調査の中間報告

 2021年、厚生労働省はカネミ油症患者の子・孫を対象とした健康実態調査を実施した。調査票の集計数は計388名、内、子は322名、孫は66名である。2022年2月の中間報告では、次世代に油症特有の症状があるという。

 この調査は対象を認定患者の次世代に限るが、未認定1世患者の次世代を忘れてはならない。

2 医療費支払いの仕組み-政府所有米穀保管の委託

 2012年のいわゆるカネミ油症救済法は、カネミ油症の公的救済の仕組みを立法化した。カネミライスオイルを製造販売したカネミ倉庫を農林水産省が政府所有米穀保管の委託によって経営支援し、油症患者の被害回復にあてるもので、中心は医療費の支払いである。

 この仕組みは1985年の法務・厚生・農林水産3大臣確認事項にさかのぼる行政協力といい、事業の形式はややこしい経緯を辿る。当初は、農水省がカネミ倉庫と随意契約を結び、年間2億円前後の保管料を支払っていたが、2006年から一般競争入札に付す契約となるに伴い、保管料が目減りし、年間1億5000万円あるかないかなどといわれた。

 さらに、2010年10月からは、農家への・・・

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