弁護士(東京) 中村新造
1 はじめに
内閣府消費者委員会(後藤巻則早稲田大学大学院法務研究科教授が委員長)は、令和3年12月17日、「成年年齢引下げに伴う若年者の消費者被害防止に向けた対応策に関する意見」(以下、「本意見」という)を発表した。
本稿は、本意見の内容を紹介することで、成年年齢引下げに対するこれまでの国の準備状況と今後の課題を確認することを目的とするものである。
2 本意見の位置付け
内閣府消費者委員会は、平成29年1月、「成年年齢引下げ対応検討ワ-キンググループ報告書」を発表している(樋口一清法政大学教授(当時)が座長)。上記報告書では、「望ましい対応策」として、①若年成人の消費者被害の防止。救済のための制度整備、②処分等の執行の強化、③消費者教育の充実、④若年成人に向けた消費者被害対応の充実、⑤事業者の自主的取組みの促進など詳細な提言を行っている。
平成30年6月13日、成年年齢を18歳に引き下げることを内容とする民法の一部を改正する法律(以下、「改正民法」という)が成立したが、その施行日は平成34年(令和4年)4月1日とされた。これは、18歳成年制を導入するにはあまりにも多くの・・・
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