裁判IT化後の記録閲覧─和解調書の非開示─

弁護士(東京) 鈴木敦士

1 裁判IT化後の記録閲覧の規律

 民事裁判IT化の議論の中で、裁判所の記録はすべて電子化されることとなった。利便性の向上のために電子化をするものであるが、閲覧が容易になると、プライバシーが侵害されるという観点から、閲覧を制限すべきという議論がされるようになった。

 その結果、法制審議会の取りまとめた民事訴訟法(IT化関係)等の改正に関する要綱案(要綱案)では、現行法91条を維持(訴訟に関する事項の証明は除く)する前提で、電磁的訴訟記録については、以下の提案がされている。①何人も書記官に裁判所の端末を用いた閲覧を請求できる。②当事者及び利害関係を疎明した第三者は、書記官に裁判所及び裁判所外の端末を用いた閲覧・複写の請求ができる。③当事者及び利害関係を疎明した第三者は、書記官に、記載事項の証明書(あるいは電磁的記録)が請求できる。④当事者は、いつでも事件の係属中に裁判所外の端末を用いた閲覧・複写ができる。

 電磁的記録・非電磁的記録共通の新たな規定として、⑤公開を禁止した口頭弁論に係る記録、受託和解の和解条項案、裁判所等が定める和解条項、和解調書(弁論期日で成立したものを除く・・・

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