法定審理期間訴訟手続に関する特則について

弁護士(大阪) 阿多博文

1 はじめに

 2022(令和4)年3月8日民事訴訟法等の一部を改正する法律案が閣議決定され、第208回通常国会(衆議院)に提出された(議案番号54「民事訴訟法等の一部を改正する法律案」。以下、「改正法案」という)。衆議院、参議院の順に審議され、通常国会中に成立が見込まれる。

 改正法案は、民事訴訟手続等の一層の迅速化及び効率化等を図り民事裁判を国民がより利用しやすいものとする観点から、民事訴訟制度のIT化を中心に①オンライン提出等(インターネットを利用した申立て等の仕組み)、②ウェブ会議を利用する方法による参加を認めるための仕組み等、③訴訟記録を電子化しその閲覧等をするための仕組み等を提案しているが、IT化以外の事項の一として、当事者の申出により一定の事件について一定の期間内に審理を終えて判決を行う手続(以下、「法定審理期間訴訟手続」という)の創設を提案している1

 法定審理期間訴訟手続の創設は、法制審議会民事訴訟法(IT化関係)部会(第1回会議(令和2年6月19日)ないし第23回会議(令和4年1月23日)。以下、「部会」という)において、その審議に最も時間を費やしたテ・・・

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