編集後記

◇「新たな訴訟手続」が、法制審・民訴IT化部会で議論され、大詰めを迎えている。訴訟の迅速化を目指すもの。弁護士が付いていない事件も対象とし、手続開始で指定された期日から6か月内に主張・立証の審理期間を制限し、裁判所は「判決において判断すべき事項」を当事者双方と確認し、その事項のみを書けば足りる。通常訴訟より部分的、簡略な判決にできる。裁判所の審理、判断について一層の定型化が進む。

◇法務省は、他方で裁判記録の電子化の検討を進める。国、地方公共団体及び事業者が保有する官民データを一定の範囲でオープンデータとし、インターネット等を通じて利用(加工、編集、再配布等)できるよう公開しようとする動きである(オープンデータ基本指針2017年5月30日高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・官民データ活用推進戦略会議決定)。非公開の裁判記録のビックデータとも併行して進められるだろう。

◇裁判所の判断は、ルール(法令等)に基づき論理的になされる。事実認定と証拠評価も多くは確率と統計による。AIが業務を行うに適した環境だ。裁判所の審理、判断の定型的処理が進み、法領域のビッグデータが利用可能となることで、裁・・・

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