社会的プロデューサーでもあった大深弁護士を偲んで

日本消費者政策学会理事 元信州大学客員教授 悪徳商法被害者対策委員会会長 堺 次夫

 大深先生の闘病生活は6年間にわたった。その間、先生は重症の脊髄損傷のために手足が全く動かない状態にありながら、最後まで意気軒昂で、その判断力、記憶力は明晰であった。斎藤護元弁護士によれば、見舞いや激励に訪ねて来た人が、皆さん、逆に励まされて帰って行く、その連続であったという。私も同様に感じていた。

 だから訃報に接してすでに相当、時間を経過したというのに、未だに亡くなったことが信じられないでいる。しかし一方で、時間の経過と共に、何とも言えぬ寂寥感に苛まれる。ポツンと心に穴が空いたような……。誰もが願った奇跡は起こらなかったのだ。

 先生の一貫して消費者、被害者という社会的弱者側に立った弁護士活動は、森永砒素ミルク事件訴訟に始まる。

 のちに、被害総額2020億円という、あの「豊田商事事件」では、全国の弁護士の先頭に立ち、縦横無尽の活躍をされた。その活動経緯は、豊田商事の日刊紙「海外タイムス」に「大阪砦の3大悪徳弁護士」と糾弾された一人の三木俊博弁護士が触れられるであろうから、私は詳細を省く。3悪徳弁護士の首魁が大深弁・・・

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