大深忠延先生を偲んで

弁護士(大阪) 金子武嗣

 大深忠延先生が、令和3年8月26日にお亡くなりになりました。

 森永事件と豊田商事事件を通じて大深さんを偲びたいと思います。

1 岡山県人として

 大深さんは、昭和18年8月27日岡山県生まれ、岡山大学を卒業し、司法試験に合格。昭和43年に司法修習生(22期)になりました。岡山県人は確固たる信念をもっている人が多く、大深さんもそうでした。司法反動の青法協攻撃が始まり、任官(裁判官)希望だった大深さんは、理不尽にも任官拒否されました。この挫折が、大深さんの人生を決定づけたと思います。

2 大深さんと森永事件

 昭和45年4月に大阪弁護士会に登録、和島岩吉先生(昭和48年度日弁連会長)の事務所に入所されました。弁護士となって人権擁護活動をすること、それが大深さんの活動の基本となりました。

(1)森永事件とは

 森永事件は、大規模な食品公害・消費者事件です。昭和30年6月頃から西日本中心に森永乳業(以下「森永」といいます)の粉ミルクの乳幼児被害が発生。同年8月、砒素の混入が明らかになりました。厚生省の発表で、乳幼児の被害者1万2131名、130名が死亡しました。被害者の大多数が乳幼児という・・・

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