中国消費者法事情(その28)─消費者権益保護法─

弁護士(大阪) 白出博之1

第7章 法律責任

【懲罰的賠償責任】

第55条 事業者の商品又はサービスの提供に際して詐欺行為があった場合、事業者は消費者の請求に応じてその被った損害を増加して賠償しなければならず、増加賠償額は消費者が購入した商品の代金又は提供されたサービス費用の3倍とする。増加賠償額が500元に満たない場合、500元とする。法律に別途規定がある場合、その規定に従う。

2 事業者は商品又はサービスに欠陥があることを明らかに知りながら消費者にこれを提供し、消費者その他の被害者が死亡、又は健康が著しく害された場合、被害者は事業者に対して本法第49条、第51条等の法律規定に基づく損害賠償を請求する権利を有し、かつ被害者は被った損害の2倍以下の懲罰的賠償を請求する権利を有する。

 本条は、事業者の懲罰賠償責任に関する規定である2。中国法における懲罰賠償の関連規定は、被害が際立っている消費者法分野だけでなく、新しい民法典や知的財産法分野でも積極的に採用されている3。これにより「違法コスト安、遵法コスト高」現象(すなわち、事業者にとって法規制を遵守するよりも、行政罰、刑事罰等を支払ってでも違法操業・・・

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