EUにおけるデジタル・プラットフォームの規律

京都大学大学院法学研究科准教授 カライスコス アントニオス

1 はじめに

 日本におけるデジタル・プラットフォーム1(以下「PF」という)関連の立法の制定過程においては、諸外国での展開、中でも特にEUでのものが紹介され、参照された。本稿では、このように日本でも注目されているEUにおけるPFの規律について、その全体像と最新の展開をコンパクトに紹介し、日本における今後の検討のための材料を提供したい2

2 EUにおける立法

(1)現行法

 EUにおけるPF関連の立法は、PFを直接規律するものと、PFに間接的に関連するものに大別できる3

 前者としては、現代化指令(EU)2019/21614およびP2B規則(EU)2019/11505がある。現代化指令は、既存の四つのEU指令を改正するものであり、これらの指令のうち、消費者権利指令2011/83/EU6および不公正取引方法指令2005/29/EC7に、PFに関する規定(PF事業者と消費者との関係を規律するもの)が新設された。P2B規則は、PF事業者と事業者である供給者(出店者・出品者)との間の関係を規律する。内部苦情処理制度やメディエーションに関する規定が置・・・

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