欠陥住宅紛争の基礎知識(56)
─欠陥住宅の調査(1)─

弁護士(東京) 河合敏男

1 はじめに

 示談交渉においても裁判においても、欠陥住宅紛争解決のためには適切な調査と客観的かつ説得力のある調査報告書作成が必須である。しかし、慣れていない建築士にとってはなかなか難しい作業であり、必ずしも依頼者の意向に添わない報告書が作成されることもある。調査段階でつまづいてしまっては、とても交渉や裁判などで闘うことはできない。

 そこで、建築士のための調査についての留意点を解説したいと思う。

2 調査の留意点

(1)調査の趣旨、目的を明確にする

 まず、当然であるが、当事者の依頼事項を正確に把握する必要がある。原則として依頼事項を逸脱した調査は行わない。調査の結果、他の重大な欠陥を発見した場合やその可能性が高いと思われるときは、依頼者にその旨報告して調査に加えることの了承を得てから実施する。

 依頼者の最終目的は、被害回復であり、調査はそのための手段である。この目的と手段を取り違えてはならない。被害回復は、示談交渉や裁判によって実現されるが、その最終解決の見込みの判断は弁護士が行うのであるから、調査及び報告書作成は、常に弁護士と協議しながら進めるべきである。

(2)被害者の利益・・・

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