成年年齢の引下げで懸念される美に関するトラブルと法律の対応

京都産業大学法学部教授 坂東俊矢

1 はじめに

 成年年齢が現行の20歳から18歳に引き下げられる2022年4月1日まで、あと4か月余りになった。

 成年年齢の18歳への引下げを是とした2009年の法制審議会「最終報告書」では、若者に消費者被害が拡大しないための施策と自立に向けた施策が必要であるとされ、それとともに施策の効果や国民の意識を踏まえて、国会で18歳に引き下げる時期について判断すべきとしていた。

 その国会が賛成多数で成年年齢を18歳に引き下げる改正民法(以下、改正民法)を可決、成立させたのは2018年6月13日である。もっとも、その段階で国民の意識が成年年齢の18歳への引下げを受け入れていたわけではもちろんない。法案が全会一致で可決できなかった事実がそれを端的に物語っている。生活の基盤となる民法の改正は、本来ならば、全会一致で成立することが望ましいことは言うまでもない。

 ところで、改正民法成立のちょうど1週間前に消費者契約法の改正法が成立している。この改正で、社会生活上の経験不足を不当に利用して、消費者の不安をあおって勧誘した消費者契約を取り消すことができることとなった(消費者契約法4条3・・・

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