弁護士(京都) 平尾嘉晃
第1 はじめに
1 附帯決議
平成30年改正(第2次改正)の衆議院・参議院消費者問題に関する特別委員会の附帯決議では、「法第9条における「当該事業者に生ずべき平均的な損害の額」の立証に必要な資料は主として事業者が保有しており、消費者にとって当該損害額の立証が困難となっている場合が多いと考えられることから、「平均的な損害の額」の意義などについても必要に応じて検討を加えた上で、損害の推定規定など、立証責任の負担軽減に向け早急に検討を行うこと」との要請があった。これに回答することが、今回の第3次改正の重要なテーマである。
2 積極否認の特則の導入
立証責任の負担軽減策としては、当初、同種の事業者に生ずべき平均的な損害の額を当該事業者に生ずべき平均的な損害の額と推定する規定が検討されたが、これについては消極的な意見が多く、もっぱら検討の対象は、「積極否認の特則」、すなわち、事業者がその相手方が主張する平均的な損害の額を否認するときは、その事業者は自己の主張する平均的な損害の額とその算定根拠を明らかにしなければならないという制度の導入の可否と、併せて文書提出命令の特則の導入の可否・・・
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