預託法の改正について

消費者庁取引対策課

1 はじめに

 高齢化の進展、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた「新たな日常」における社会経済情勢の変化等により、消費者を取り巻く環境が大きく変化する中で、消費者の脆弱性につけ込む、巧妙な悪質商法による被害が増加している。

 こうした状況を踏まえ、特定商品等の預託等取引契約に関する法律(以下「預託法」という)の改正を内容とする「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案」が令和3年の通常国会に提出され、同年6月に成立・公布された。

 以下、預託法の主な改正内容を概説する。

2 預託法の主な改正内容

(1)販売預託の原則禁止

 現行の預託法は、預託等取引契約の締結についての勧誘等を規制しているが、預託法の制定以降も、牛を対象とした安愚楽牧場事件や家庭用永久磁石磁気治療器を対象としたジャパンライフ事件など、特に、販売を伴う預託等取引、すなわち販売預託について、これまでも大規模な消費者被害が発生している。

 そこで、改正法では、販売預託を原則として禁止することで、消費者被害を防止し、消費者の利益の保護を図ることとした。

 販売預託の原則禁止は、・・・

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