大飯原発設置許可取消大阪地裁判決

弁護士(大阪) 武村二三夫

1 はじめに

 2020年12月4日大阪地方裁判所は、関西電力大飯原子力発電所3号機及び4号機の設置許可を取り消す判決を言い渡した。設置許可申請をした関西電力株式会社のみならず、これを審査した国もまた、福島原発事故によって見直された審査基準を無視していたことが、裁判所によって指弾されたのである。

2 福島第一原子力発電所事故と神話の崩壊

 1979年アメリカのスリーマイル島原発事故、1986年当時のソ連のチェルノブイリ原発事故でいずれも炉心溶融(メルトダウン)がおきた。にもかかわらず、日本では炉心溶融のような過酷事故は起きない、という「原発安全神話」がまかりとおっていた。

 しかし、2011年3月11日東北地方太平洋沖地震発生時、福島第一原子力発電所の3基もの原子炉が炉心溶融を起こした。水素ガス爆発が起き、大量の放射性物質が大気中に放出された。10万人以上の住民が避難した。また大量の汚染水が現在に至るまで生じ続け、タンクにためられている。そして政府は、そのスペースが限界に達するとして海洋投棄するという方針を表明し、世界中から非難を浴びている。

3 審査体制・基準の見直し

 従前、・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。