「酷い人権侵害」と周知する広報戦略
─物価偽装をただす─(第10回)

フリーライター 白井康彦

 生活保護基準切下げの行政処分の取消しを求めた「いのちのとりで裁判」。全国29地裁で提起され、2021年11月26日現在、地裁判決は原告側から見て1勝5敗です。毎回のように強調していますが、原告側は、物価偽装の論点で分かりやすく主張を展開していくことが決定的に重要です。さらに、「酷い人権侵害だ」と強力に世間に訴えていく広報戦略が必要です。筆者自身については、物価偽装のカラクリ解明はほぼ終わったと感じています。そこで、今後は、広報活動に重点を置きます。今回は、その進捗状況を報告します。

 まず、物価偽装の概要。厚生労働省は2013年1月に生活扶助基準改定案を公表。改定の最大理由は、消費者物価指数(CPI)の下落率を改定率にそのまま反映させる物価スライドでした。厚労省は、同省が編み出した「生活扶助相当CPI」が、2008年は104.5、2010年は100、2011年は99.5だったとしました。2008年〜2011年の下落率は4.78%。この下落率が大きすぎると判断して、大阪地裁は2021年2月に原告勝訴の判決を出しました。

 筆者は「厚労省が正しく計算していれば、3年間の生活・・・

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