まさかこんな判決が
事業ファクタリング大阪地裁判決

弁護士(大阪) 植田勝博

1 大阪地裁令和3年11月26日判決(令和2年(ワ)第5056号損害賠償請求事件)、途中で分離をした3件ずつの事件番号を同じにする2件の判決がされた。いずれも、事業ファクタリングは普通の債権譲渡契約であり、貸金業でもなければ、暴利でもない、として6社に対する請求は棄却された。これは大きな驚きであった。裁判所の、取引の事実実体の認識、暴利の禁圧をする法益を前提とする法律の適用、法解釈のあり方について、法制度の基本を欠くものであった。大阪地裁は、①事実としての取引の実態、②被害の甚大性、③法律が目的とする法益を無視するものである。司法、裁判所の機能を欠いていると強く感じた。

2 大阪地裁は、①譲渡債権の債務不履行のリスクはファクタリング業者が負っている。②金銭貸借取引であれば、原告の与信調査が必要だがこれがなされていない。③原告の支払いが滞ったときに、債権譲渡の通知が売掛先にされて、譲渡人の信用が失墜するとの点は、事実上のものである。法的な支払義務は負わない。④原告が譲渡した債権の売掛先から回収して支払っていることを理由とする。

3 給与ファクタリングと事業ファクタリング

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