弁護士(神奈川) 茆原正道
1 平成19年2月13日最高裁の判例違反の誤りとその指摘
最判平成19年2月13日(民集61巻1号182頁)は「債務者の充当指定の意思が推認されない、また不当利得返還請求権や相殺の抗弁ができるから充当されない」という理由により、充当を否定した(判決文3で後記)。
しかし、これは、もともと大判大正年1月31日(民録23輯2巻77頁)に正面から違反する判断であった(判決文2で後記)。同大判は概要「支払うべき金額以上の利息を支払った場合には、特に反対の意思表示がない以上は、法律上当然に元本に充当される」「利息の支払いが超過してなされてそれを元本に充当すべき場合には、不当利得としてその返還を請求することは出来ない」と判断した。
最判平成19年2月13日は、民法491条489条(現行488条4項)に規定された法律上当然充当、および判例の伝統を無視し、充当されない債務を多数作り出すこととなった。この判決の影響は、直ちに相談現場の混乱を招き、救済を求めてもかなわない判決が出たことを相談者は知らされることとなった。これが首都圏の月別自殺者の増加となって表れた。
全国から、被害者の会そ・・・
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