「コンセンサス主義」の揺らぎとその先にあるもの

中央大学大学院法務研究科教授 特定非営利活動法人しずおか消費者ユニオン理事長 宮下修一

 ここ数年、消費者関連の法律の改正が相次いでいる。いずれも重要な内容を含むものであるが、2016年と2018年の2回にわたって行われた消費者契約法の実体法部分の改正は、実務にも大きな影響を与えるものといえる。

 この改正は、足かけ3年に及ぶ消費者契約法専門調査会(以下「専門調査会」)での議論をふまえたものである。このような会議体は、多様な意見を集約するために、幅広いメンバーで構成されることが求められる。実際、専門調査会も、学識経験者(大学教員・弁護士等)、消費者代表、事業者代表といった幅広い分野のメンバーによって構成された。

 議論の成果は最終的に報告書にまとめられるが、その作業の過程で立ちはだかるのが、会議を構成するメンバーが全員一致しない限りは立法には結びつかないという「コンセンサス主義(全員一致主義)」の壁である。それゆえ、一部の委員が強く反対した場合には、そもそも検討の対象から外れる、いわゆる「論点落ち」となることもしばしばである。これは消費者契約法に限らず、近時の立法ではよく見られることではあるが、こ・・・

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