ルール形成の観点から見た近時の消費者立法について

慶應義塾大学大学院法務研究科教授 鹿野菜穂子

一 はじめに

 消費者法(ここでは特に取引分野を念頭に置く)という法分野は、複合的な性質を有している。つまり、伝統的な意味での公法と私法、実体法と手続法が、消費者の利益保護に関するルールとして存在している。また、より広く捉えると、事業者の自主規制も、消費者保護に関するルールの1つということができ、さらに、消費者教育や消費者団体に対する支援の在り方なども、ルールを実効的なものとするための仕組みとして関わる。消費者の利益保護を確保するとともに、市場の健全な発展を実現するためには、このようなルールをどのように組み合わせ、ルールの担い手を支える仕組みをどのように整えていくべきかが、重要な課題となる。

 ところで、内閣府消費者委員会は、平成30年2月に「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ」を設置して検討を重ね、令和元年6月に報告書1をとりまとめた(以下、このワーキング・グループを「第1期WG2」とし、同報告書を「WG報告書」とする)。筆者は、この第1期WGに関わったメンバーの一人であったが、そこでは、公正な市場を実現するためのルー・・・

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