東京経済大学名誉教授 川浦康至
「イメージ図」
久しぶりに買った牛乳。パッケージの雰囲気がいつもと違う、微妙にだ。イラストを確かめた。
噴煙を上げる山は、たぶん阿蘇。その麓に2頭の牛がシルエットで描かれている。違和感の元は牛の足元にあった。「イメージ図」の5文字である。
イメージと言えば、「写真はイメージです」はチラシの常套句。その断り書きが牛乳パッケージにも及んでいるとは思いもしなかった。チラシの商品写真であれば、わからなくもない。だが、イラストは実物写真ではない。広辞苑にもこうある。イラストとは「イラストレーションの略。特に、見て楽しく誇張・変形した絵についていう」。当のパッケージの牛はシルエットである。具象画ではない。
牛乳メーカーに問い合わせてみた。早々に届いた回答は私の予想を超えていた。
「パッケージから『放牧牛から搾った生乳である』などの誤解を生む可能性もあり、記載しています。本品は熊本の大自然の中で育った乳牛から搾った生乳をパックした商品ですが、放牧牛からの生乳に限定したものではありません」。
私は放牧牛の牛乳と思って買った訳ではないし、イラストが商品の中身と関連があるとも思わない。実・・・
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